ニンゲン交差点EP1 【千円札劇場】
とあるホテル従業員の同僚への理解と思いやりが溢れる交差点。
毎日千円札一枚だけ握り締めて買物に出る青年。
ホテルといえばフロント係りや仲居さん、ホール係りなど、
直接お客様と向き合ういわばスポットライトを浴びる表舞台で働く人もいれば、
お客様からは見えないところで実質的な仕事をしている裏方専門の人もいる。
彼はそんな裏方の人。
人付き合いが得意なほうではない感じで、ただただひたすらシャイ。
時間をかけて計算しながら購入アイテムを吟味。
いざ会計へ。。。
1,046円です。
ここで普通なら小銭をさがすところだけど、彼は千円札一枚だけしか持ってない。
こんな時のために小額アイテムも数点カゴに入れて置くっていう周到さを見せつつ、
後ろ髪ひかれる面持ちでいくつか諦め返品。
こうして千円でおつりが出るように調整してのお買い物本日も無事終了。
そしておつりは必ず募金箱にいれるという見事なフィニッシュ。
欲しいものを欲しいだけ買っちゃって後々泣きを見るワタシとしては
爪の垢を煎じて飲んだほうがいいと思う。
そんな彼を見守る年配の男性がいる。
この男性は彼から見て表舞台担当の同じ職場の大先輩。
このいつもの千円札買物劇場を見ていて一言。
「あいつは感心なヤツなんだ。仕事も真面目で兎に角一生懸命で頑張ってるんだぞ。もうちょっと若いものと付き合って遊ぶこともしたらいいのになぁ。でも出来ないんだ。あいつにとっては仕事してる事が幸せで楽しいんだとよ。ホント真面目で良いヤツなんだぁ。大事にしたいよなぁ、ああいう若いの」
彼は言語にちょっとしたハンデがある。
だから裏方なのかもしれない。
親元を離れこの地に来て一人きままな寮生活。
ともすればもらった給料全部使って遊び倒すのに最適な環境。
この辺世代によって感じ方違うかもだけど、きっと先輩男性はそう感じてるんだど思う。
彼が私から見てストイックな生活を選ぶ理由も、どんな意志の下で仕事をしているのかも
私には想像の域を超えないくらいの理解しかないけど、彼の意志を尊重して応援する先輩男性の思いやり溢れる見えない気遣いを感じて嬉しくなった。
こういう人大好きだ。
地元住民以外にホテルの中で働きこの阿寒湖で生活している「よそから来た人」もいる。
彼らも阿寒湖で暮らしている阿寒湖住民。阿寒湖の人。
ホテルに勤めている人からよく聞くけど
「自分が勤める職場がたまたま阿寒湖にあるってだけ」
狭い阿寒湖内でも色んな人々が交差する人間模様。
非常に奥深くていとをかし。。。
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